40数年前に建てていただいたE邸。久しぶりにお電話があり、仏壇を床脇に置きたいとの依頼でしたので、大工の岡田さんと一緒に下見にお伺いいたしました。
いつお伺いしても凛とした空気感があります。
数寄屋建築の中野徳七先生の設計です。先生のお宅は今でもよく覚えておりますが、E邸と同じく心地の良いお家です。Eさんも中野先生の暮らしに共感されてお願いしたと思われます。
他のメンテナンスをお聞きしているお話の中で踏み台をお願いされました。当時の家は玄関土間とホールとの段差がありますので、踏み台とか縦手摺・・・etc. 必要になると思います。
事務所に戻りラフスケッチを描いて材料を探しに倉庫へ行くと、丁度いいサイズの杢目の美しいケヤキの板が目について、それに脚の化粧材を2~3種類組み合わせてみて、桧の柾目板に決定しました。踏み台の材料と考えると少しリッチ過ぎる感はありますが、E邸の玄関には調和すると思いました。
踏み台は安全が一番、そして、デザイン、“用の美”を意識して、天板、脚の細部のディテールを書いて大工さんにお願いしました。お届けしますとEさんは、“足がハレる”と言って大変喜んでいただきました。
僕は踏み台の設計は初めての経験でしたが、集中したいい時間が過ごせました。
2022年11月11日 竹田 成太